校長日誌 着任式・始業式
令和7年4月7日(月)着任式・始業式を行いました。新メンバーを加え、本格的な令和7年度がスタートしました。 始業式では校長講話の後、進路指導部主任、生徒指導部主任から講話がありました。進路指導部主任は、先を見通して行動することの大切さや大学はゴールではなくそこで何をしたいのかが重要であるということ、生徒指導部主任は、自己管理能力の欠如による遅刻などがないように基本の徹底を、という話をしました。 以下は校長講話の要旨です。表示されない場合は<続きを読む>をクリックしてください。 |
|
校長講話要旨
改めて皆さん、おはようございます。
着任式で紹介したとおり、新しいスタッフが加わり、新しい年度が始まりました。気持ちを新たに、川女での生活をより 充実したものにしていきましょう。
昨年度末、ある男性が川女生にお礼を伝えに来校しました。川越市駅で体調を崩していたところ川女生に声をかけてもらい、水を買いにいってくれたとおっしゃっていました。さすが川女生だなと思いました。引き続き、皆さんがそうした優しい心でいてください。
さて、先日、ノルウェイ政府が京都大学特任教授 柏原正樹(かしはら まさき)氏にアーベル賞を授与すると発表がありました。アーベル賞は、フィールズ賞などと並び数学における最高峰の賞の一つであり、「数学のノーベル賞」と称されます。その、柏原名誉教授の偉業についてはどこか別の機会に譲るとして、今日は賞の名前にもなっているニールス・アーベルという数学者についてお話しします。
アーベルの業績として知られている中で皆さんの学習で少し関係がありそうな分野としては、5次以上の代数方程式には累乗根と四則演算だけでかけるような一般的な解の公式は存在しないことを証明したということや楕円関数の逆関数についての研究、高校3年で勉強する無限級数の収束などの研究といったものがあります。
その他にもアーベル群と名付けられた可換群や超越関数とか・・・。もはや聞くのも嫌だという人もいるかもしれませんね。
アーベルは26歳で亡くなるまでに多くの論文を執筆し、特に超越関数に関する論文は、後に「青銅よりも永続する記念碑」と謳われ、後世の数学者に「500年分の仕事を残してくれた」とまで言われた不滅の大論文でした。「後に」です。残念ながら、当時学問の中心フランスで活躍したガウスやコーシーといった数学者達はノルウェイ育ちの彼の論文を認めず、しばらく論文は日の目を見ることがありませんでした。アーベルは正当な評価を受けることなく26歳で病死してしまったのです。
さて、長々とお話ししてしまいましたが、私たちはどうでしょう。何かを判断するときに、先入観を排除しているでしょうか? 近年では10年以上にもわたって、差別撤廃やダイバーシティ社会の実現と言われていることを考えると、それまでの偏見や先入観を捨てるのはどの人にとっても本当に難しいものなのだと思います。事実をあるがままに受け入れ判断する、いわゆるオープンマインドをもたなければ、価値あるものを見逃してしまうだけでなく、よりよい暮らしやすい社会の実現が遠のいてしまいます。皆さんが科学研究を行ったり、小論文を書いたりする場合も、偏見や先入観にとらわれていては良いものができなのではないでしょうか? 何事もオープンマインドで取り組むということを今年一年、皆さんに心がけてもらって、皆さんが、昨年度以上の活躍をすることを期待しています。
私たちも支援しますので、一緒に頑張っていきましょう。私からは以上です。