校長日誌 終業式・報告会・ロードレース大会表彰式
令和6年3月22日(金)終業式、音楽部関東アンサンブルコンテスト出場報告会、ロードレース大会表彰式を行いました。終業式では、校歌斉唱、校長講話に続いて、進路指導主任からリンカーンの言葉を引用して準備の大切さを。生徒指導主任からは春休み、新年度の生活の在り方などについて話をしました。その後、関東アンサンブルコンテストに出場した音楽部の報告会、ロードレース大会の個人、クラスの表彰式を行いました。
来年度も皆さんのますますの活躍を期待しています。
終業式の様子 | 音楽部から報告 | 生徒会から花束贈呈 |
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校長講話概要
皆さん、おはようございます。今年度はようやくほぼ制限なく高校生活を満喫できるようになりました。授業も通常通り行われるようになり、勉強や学校行事、部活動など大変忙しい毎日を送ったのではないでしょうか。
忙しい毎日が続くと、人間の性で、時間をかけて何かに取り組むよりも、ついすぐに役立つ情報や技術に飛びついてしまいがちです。そういったときに、スマートフォンを役立てている人も多いのではないでしょうか
ところで、多くの皆さんが持っているスマートフォンで誰かと電話をしたときに、スマートフォンから聞こえている声は誰の声でしょう?
皆さんご存じのとおり、通常音は空気中を波で伝わります。小学校でおそらく学んだ糸電話ではその波が糸を通じて伝わるのだと習った人が多いと思います。
ところが、音の波をそのまま伝えると大容量になり、しかも多くの障壁により遠くまで届けることができません。知っている人も多いと思いますが、復習です。スマートフォンでは、まずその波を数値に置き換えます。更に、これまで集積した大量の音声データから作ったコードブックを利用し、スマートフォン内のコードブックから発声された音の波に最も近いものを拾い出して、信号として送り出します。つまり、コードブックの量を超えないわけですから、容量はかなり縮減できます。
受け手は、コードブックを利用して音型を読み出し、つなげてあたかもその人の声のように流しているのです。つまり、スマートフォンから聞こえてくる電話の声は機械が創り出したものなのです。
ですから、多くの人が直接聞く声と違うと感じることがあるわけです。このことを巧妙に利用しているのが、他人になりすますいわゆるオレオレ詐欺です。また、フェイクニュース動画などの音声も容易に作り出すことができるようになっているわけです。
少し余談ですが、先ほど話した糸電話は音の原理を説明するために使われるのですが、実際には手作業で作る糸電話では糸にたるみができ、人の声のような高い周波数は伝わらないといわれています。では、聞こえている気がするのは? 相手の声が空気を伝わって普通に聞こえているだけだそうです。本当に糸を伝わって聞こえていると誤解していた人はいないでしょうか?
人は思い込みの動物です。物事の原理や仕組み、構造を理解していくことで、先入観を排除し、想定の範囲を広げることができ、例えば詐欺被害などからの危険回避や万が一の時の備えとなります。
つまり、基礎基本を学び、理解することは単に成績を上げるとか、大学に合格するとかということだけではなく、自分を取り巻く環境の理解につながり、想定外を減らし、安全に快適に生活することにつながるのです。
皆さんは、すぐに役立つテクニックや方法論に飛びつくのではなく、4月以降も根気強く基礎基本を大切に、学び続けることを期待しています。
では、次に皆さんがそろうのは4月5日。みんな笑顔で集合しましょう。
(参考文献)「16歳からの東大冒険口座[2]情報/歴史と未来」東京大学教養学部編 培風館