校長日記 第73回卒業証書授与式にて

3月16日(火)第73回卒業証書授与式が行われ、卒業生393名が学び舎・川女を旅立っていきました。様々な制約の中でしたが、在校生による事前の準備、保護者の御協力もあり、川越女子高校らしい卒業式となりました。

入場を待つ卒業生 ステージの様子 卒業生の入場

卒業証書授与の時 393名の卒業生 校長の式辞

保護者1名・座席1席空け・手指消毒設備・時差入場・換気徹底など、感染対策を講じながらの卒業式となりました。開式の言葉ではじまり、静粛な雰囲気の中、国歌・卒業証書授与・式辞(下段参照)と進みました。そして、在校生代表(2-2佐々木華さん)の卒業生への感謝の気持ちを織り込んだ送辞と続きました。そして、卒業生代表(3-1岡田凜さん)の川女や後輩への熱い思い、両親への感謝という気持ちのこもった答辞。「貴女がいて良かった、と思われる人」になります、という言葉が印象的でした。

答辞の様子 さあ、お別れの時 お見送り

天候にも恵まれ、保護者や先生方に見送られ、晴れやかな卒業式・旅立ちの日となりました。在校生の参加は叶いませんでしたが、皆で卒業生を送り出した素晴らしい式でした。ステージ操作等でサポートいただいた放送部・演劇部の皆さんにも感謝いたします。卒業生に幸あれ。

《番外編》

看板が登場 皆川学年主任と共に 温かいメッセージ

正門付近に立て看板(メッセージボード)出現、という情報を得て確認したところ、学校隣接のディサービス(りこ)さんからの贈り物と判明。早速、皆川学年主任と小野事務室長と3人でご挨拶・お礼に伺いました。利用者さん(高齢の方々)が作成したボードだそうです。ボードに気が付いた卒業生のメッセージがたくさん書かれていました。温かい贈り物、本当に感謝します。地域の皆様方にも川女が愛されていることを実感しました。

 

第七十三回卒業証書授与式・式辞(概要)
               
 この佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、ここに埼玉県立川越女子高等学校第七十三回卒業証書授与式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして、大きな喜びであります。保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。
 ただ今、393名の皆さんに卒業証書を授与しました。本校に入学以来、不断の努力を重ねてきた卒業生の皆さんに敬意を表し、教職員を代表して、お祝いと餞(はなむけ)の言葉を申し上げます。
 本日は卒業証書授与式という、いわば最後の授業です。この最後の授業をもって、川女での生活に終止符が打たれます。旅立つ皆さんを見届けることは、大変嬉しくもあり、大変寂しくもあります。本日、卒業を迎えられた皆さんに、三つお話をします。
 まず、第一は、これからも「学び」を止めないで欲しい、ということです。「学び」は何も学問に限ったことではありません。興味関心を持ちながら、知識や知恵を蓄えて欲しい、と思います。十六世紀から十七世紀に活躍したイギリスの哲学者・政治家であるフランシスコ・ベーコンのいう『scientia est potentia』、すなわち「知は力なり」を実践していくことを皆さんに期待しています。ベーコンの活躍しはじめたヨーロッパは、感染症「ペスト」の第二次パンデミックの真っ只中でした。その後パンデミックは収束しますが、収束の力となったのは、ある意味で、『scientia est potentia(知は力なり)』の実践の賜物であったと確信しています。
 第二は、「出逢い」を大切にして欲しい、ということです。私は、「出逢い」は偶然でなく必然だと考えます。今から三年前、平成三十年四月九日に皆さんは川女に入学され、沢山の「出逢い」を経験してきました。「出逢い」を通して、共に喜び感動し、励まし合い助け合ってきたことでしょう。しかし、その「出逢い」は偶然だったのでしょうか。自ら努力し、自己を高めていく中で、誰かが寄り添ってくれたのではないでしょうか。魅力ある人には、人が集まってきます。これからも、自分を磨きつつ、「出逢い」を大切にして欲しい、と願っています。
 そして、第三は、「失敗」を恐れないで欲しい、ということです。恐れるどころか、「失敗」を楽しんで欲しい、と思います。失敗の繰り返しの先には、必ず「成功」が待っています。渋沢栄一翁は、晩年次のように語っています。「若い時に失敗を繰り返していくことで、晩年が充実して過ごすことができるようになる。晩年が充実して美しく過ごせば、その人の価値はあがるものだ」この言葉は漢詩の書として、今も保存されています。卒業生の皆さん、どうか若い時期だからこそ、失敗を恐れず、困難な課題にも果敢に挑み続けて欲しい、と思います。
 結びに、先ほど紹介した渋沢栄一翁の言葉を添えて、式辞といたします。
 『天意重夕陽人間貴晩成』(天意夕陽(せきよう)ヲ重ジ、人間晩成ヲ貴(たっと)ブ)
令和三年 三月十六日  埼玉県立川越女子高等学校 校長 桑原 浩