校長日記 「後期」はじまる

10月1日(木)本日から「後期」が始まりました。6月の分散登校から徐々に学校生活が戻ってきています。前期は終了しましたが、後期での皆さんのますますの活躍を願っています。集会による始業式が実施できないため、Meetを利用しての各クラスでの始業式となりました。

会議室から校長講話 教室の様子 進路指導主事の講話

会議室でのコントール 皆真剣に聴く様子 教室での様子

校長講話(以下内容掲載)に続き、武藤進路指導主事から「志望を下げずに頑張ろう、という指導の中、全国では下がっている傾向となったが、本校生は最後まで諦めない傾向が強い。考え次第で勉強は辛くもなるし、楽しくもなる」というお話をしていただきました。また、野中生徒指導主任から「自覚と誇りを持ち制服を着こなそう。本校1年生活委員代表3名が参加した『自転車安全推進講習会』の紹介を通して、自転車による交通事故に気をつけよう。『人生で大切なこと』というテーマの文言を引用しながら、自分を大切にしましょう」というお話をしていただきました。今日から後期。前半の疲れを取りながら、さらに邁進していきましょう。そんな皆さんを川越女子高校は応援しています。

 

《 後期始業式(校長講話・概要) 》

 6月から「分散登校」となり、学校が徐々に始まり、気がつけば前期も終了となり、本日10月1日から後期となりました。これまで、皆さんには、感染症防止の観点から、三密の回避や手洗い、そして検温の徹底など、たくさんの協力をいただき、感謝します。
 さて、この度の新型コロナウィルス感染症の拡大により、「集まる自由」や「つながる自由」だけでなく、様々な自由の制約や遮断を余儀なくされました。また、これまでの「常識」が次々に崩壊しています。
 さらに、テレビやインターネットなどのニュースでは、聴きなれない言葉が多く登場しました。ソーシャルディスタンス、オンライン授業、リモート・テレワーク、ロックダウン、パンデミック、エッセンシャル・ワーカー、ニューノーマル、などです。
 そして、これまでの「常識」が崩壊し、新しい社会像・新しい社会的価値観が生まれています。6月に日本の経済産業省の管轄下の組織による報告書には、次の6つの「新しい価値観」が挙げられています。まずは、教育界でも始まっている「デジタルシフト」、そして米中の対立軸である「国際情勢の変化」。3つ目・4つ目は、コロナ感染回避による「中央集中から分散への変化」及びそれに伴う「産業構造の変化」です。そして5つ目・6つ目は、感染症回避に伴う人々の意識変化による「行動変容」及び「環境問題への意識の変化」です。いずれにせよ、これまでの「常識」が崩壊し、新たなる価値観が次々生まれてきています。
 ところで、「常識」が崩壊しても、変わらない・変化しないものもあります。「不易」という「変わらないもの」の代表が「学ぶ」ことだと思います。「学び」ということ、すなわち「学び」の本質は決して変わるべきでないと思います。本日は、「学び」の本質について、お話をしたいと思います。
 皆さんは、外山滋比古さんの『思考の整理学』という本を読んだことがありますか。この本には、「学び」の本質について書かれている部分があります。抜粋したものを、紹介します。
 『人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。受動的に知識を得るのが「グライダー能力」、自分でものごとを発明・発見するのが「飛行機能力」である。両者は一人の人間の中に同居している。グライダー能力を全く欠いていては、基本的知識すら習得できない。何も知らないで、独力で飛ぼうとすれば、どんな事故になるかわからない。
 学校はグライダー人間をつくるには適しているが、飛行機人間を育てる努力は、ほんの少ししかしていない。学校が熱心になればなるほど、また知識を与えるのに有能であればあるほど、学習者を受け身にする。ギリシャ人が人類史上最も輝かしい文化の基礎を築き得たのも、彼らに優れた問題作成の力があり、「なぜ」を問うことが出来たからだという。飛行機能力が素晴らしかったのである。
 さて、皆さんは、グライダー人間ですか。それとも飛行機人間ですか。前期を振り返り、自分の「学び」に対する姿勢を見つめ直してみませんか。
 外山滋比古さんの言うように、「グライダー能力」も「飛行機能力」も両者のバランスが大切だと思います。したがって、受け身になり過ぎた「学び」に偏ってしまうと、それ以上の進歩がありません。本日から後期が始まりました。「グライダー能力」だけでなく、時には「飛行機能力」を伸ばすために、「なぜ」「どうして」という学習意欲を大切にして、受動的学習から能動的学習に切り替えてみましょう。皆さんの成長を楽しみにしています。