校長日記 年末・全校集会にて

12月24日(金)年末・全校集会が会議室をベースにして、放送部のご協力のもと、各教室をつなぐオンライン形式で行われました。本校は前期・後期制のため、いわゆる終業式がないので、年末・学校集会を実施しています。校長講話(下段参照)に続き、進路指導部および生徒指導部からお話をいただきました。

校長講話の一コマ  武藤進路指導主事のお話  頑張れ、受験生

教室の様子  野中生徒指導主任のお話  小池OA部主任の連絡

まずは、武藤進路指導主事から、最近の大学入試の動向についてお話をいただきました。「後期試験まで踏ん張る、という気概を持ち続けて欲しい」「生活習慣を崩さず、毎日規則正しい生活を送って欲しい」「日々、計画的に学習を進めて欲しい」という助言をいただきました。また、野中生徒指導主任から、「服装・交通安全・SNS・防犯対策」について、本校の現状等を踏まえながら、改めて注意喚起がありました。また「人生が輝く20のことば」を配布された資料をもとに紹介し、「心と身体の健康」について助言をいただきました。

英語部に花束  放送部へ花束贈呈  ALTのご挨拶

全体会終了後、生徒会主催による活動報告・壮行会が行われ、過日全国大会に出場した英語部(ディベート班)及び関東大会に出場(1/30埼玉会館)が決まった放送部が紹介され、生徒会長から激励の言葉・花束贈呈が行われました。さらに報告会・壮行会終了後、OA部からの連絡に続き、過日着任されたALT(キャロライン先生)が全校生徒に向け、ご挨拶をされました。この1年様々な活動を展開してきた川女生たち。さらなる飛躍をお祈りしています。よいお年をお迎えください。

 

《 年末全校集会・校長講話概要 》                            
 本日は12月24日です。2021年も残すところ、あと7日となりました。皆さんにとっては、どんな1年でしたでしょうか。ぜひ立ち止まり、1年を振り返りましょう。飛躍するための何かヒントが見つかるはずです。さて、私たちは今、新型コロナ感染症という、目には見えないウイルスに直面しています。しかし、顧みれば、人類の歴史はウイルスとの闘いの連続でした。天然痘・チフス・麻疹・インフルエンザなど、人類は感染症と闘いながら歴史を刻んできました。そのような、ウイルスと人類の歴史の中で、大きな分岐点がきます。ルイ・パスツールの登場です。フランス人のパスツールは、19世紀に活躍した「近代細菌学の開祖」と称され、同時代のコッホと共に有名なサイエンティストです。本日は、このパスツールの話をします。

 パスツールといえば、狂犬病などのワクチン開発で名が知られています。しかし、元々は、化学(Chemistry)の研究者でした。初期には、「分子の立体構造」の研究に取り組んでいました。ところが、アルコール製造業者から「ワインの腐敗原因を調べて欲しい」という依頼を受けます。この時が契機となり、パスツールは微生物学の研究に没頭することになります。ケミカル・サイエンティストがバイオロジカル・サイエンティストになったのです。研究を重ねた結果、「低温殺菌法」の開発という、大きな業績を残しました。その後、ウイルスの培養を発展させ、弱毒化した微生物を接種することにより免疫を得る、という発見に繋げます。ワクチン予防接種という、感染症に対する強力な武器を手に入れることとなったのです。生物学(Biology)の応用が医学(Medicine)の発展に繋がった、ということです。パスツールは、バイオロジカル・サイエンティストからメディカル・サイエンティストになったのです。特に、狂犬病ウイルスによるワクチン開発は有名です。

 ちなみに、狂犬病ワクチン開発以前の19世紀前半の時代、狼や野良犬に噛まれて亡くなる事案は沢山ありました。当時の治療方法は、鍛冶屋で真っ赤に焼けた鉄を傷口に当てるという、想像を絶する治療方法だったようです。当時8歳の少年だったパスツールは、その治療による患者の悲鳴をよく耳にしていた、と記録に残っているそうです。さて、ケミカル・サイエンティストからバイオロジカル・サイエンティスト、さらにメディカル・サイエンティストへと研究分野を変遷していったパスツールは、日頃から大切にしてあった「モノ」がありました。それは、102冊の実験ノートでした。家族には、この実験ノートを誰にも見せないようにと言い聞かせていました。彼の死後の90年後に公開されるまで、この約束は守られたようです。

 本日は、サイエンティストであるパスツールに関するお話をしました。皆さんは、どんな感想を持ちましたか。川女生の皆さんには、ケミカル・バイオロジカル・メディカルとパスツールが研究領域を変遷したように、『常に様々なことに興味関心を持ち続けて欲しい』と思います。「学び」に無駄なモノはありません。これからも、授業を大切にしながら、『「学び」は繋がっている』ということに気づき、学び続けて欲しいと思います。学び続けていれば、パスツールと同じように、様々な人生の転機に出逢うことでしょう。そんな転機が来ることを楽しみにして欲しい、と思います。

 最後に、パスツールの残した言葉を皆さんに紹介します。それは、「チャンスは備えある所に訪れる」という名言です。英語では、「Chance favors the prepared mind」と言います。皆さんにもチャンスが来るように、これからも学び続けましょう。