校長日記 第74回卒業式にて

3月16日(水)本校体育館にて、保護者(各家庭1名)及びPTA会長の御臨席のもと、第74回卒業証書授与式が挙行されました。朝方は肌寒さを感じましたが、次第に快晴の天候となり、卒業生は晴れやかな気持ちで学び舎から巣立っていきました。

卒業生の入場  担任による卒業生の呼名  卒業証書の授与

校長式辞  体育館の様子  PTA会長の祝辞

感染症防止対策のため、1・2年生は自宅にてオンライン中継となりましたが、先輩たちの姿を目に焼き付けることができたと思います。卒業証書授与に続き、校長式辞(概要・参照)となり、新井PTA会長様から心温まるご祝辞をいただきました。

送辞の場面  体育館の様子  答辞の場面

続く送辞では、在校生を代表して2年生・土屋さんが先輩への思いや門出を祝う温かい言葉を述べました。そして、卒業生を代表して、3年生・佐々木さんが答辞として、お世話になった方々へのお礼・これからの希望などを述べました。川女での3年間の貴重な経験を活かし、さらなる飛躍をお祈りします。

 

《 第74回卒業証書授与式・式辞 概要 》
 寒さ厳しい冬も終わり、校舎の木々に春を感じる季節となりました。ここに、埼玉県立川越女子高等学校 第74回卒業証書授与式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして、大きな喜びであります。保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。これまで、心温まる御支援と御協力を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。
 ただ今、361名の皆さんに卒業証書を授与しました。本校に入学以来、不断の努力を重ねてきた卒業生の皆さんに敬意を表し、教職員を代表して、お祝いを申し上げます。
 皆さんは平成31年4月8日、この川越女子高校に入学されました。入学式で私が申し上げた「3つの言葉」を覚えているでしょうか。「時間を使い尽くすこと」「人との出逢いを大切にすること」「自主自律の実践をすること」の3つを申し上げました。皆さんは、この3年間の川女での生活において、「何事にも一生懸命に取り組み、十分時間を使い尽くした」と思います。また、「多くの仲間や先輩方と出逢い、かけがいのない友と巡り合う」ことができました。さらに、予期せぬ制限・制約にもかかわらず、時には心が折れそうな中、「学校行事や部活動において、自主自律の実践を見事に果たした」と思います。
 さらなる学びに繋げるために、新たな3つの「標(しるべ)となる言葉」を贈ります。それは「先見力」「実践力」「世界的視野」です。まず、卒業生の皆さんには、「先見力」に磨きをかけて欲しいと思います。「先見力」とは、「先を見通す力」にとどまらず、豊富な知識や経験を蓄え、常に慎重に物事を見極める力、すなわち、「物事の本質を見る力」のことです。今日の情報化社会において、正確な情報を集約・整理し、「真実を見抜く力」を身に付けて欲しいと願っています。そのために、学び続けてください。2つ目は、「実践力」にも磨きをかけて欲しいと思います。「実践力」とは、学んだ知識を実践・活用する力のことです。知識を蓄積することに満足して終わりではなく、率先して行動・実践し、「学んだことを社会に還元する力」を身に付けて欲しいと願っています。適切な判断のもとで行動できるために、これからも学び続けてください。そして3つ目は、「世界的視野」にも磨きをかけて欲しいと思います。「世界的視野」とは、自分とは異なる価値観を受け入れ、その価値観を理解する力のことです。今日の多様化した(ダイバーシティ)の社会において、異なる考え方を持つ人・地域・国の文化などを深く理解し、リスペクトする力を身に付けて欲しいと願っています。そのためにも、学びを止めないでください。
 ところで、この3つの標を掲げ、日本最大規模の藩校・水戸弘道館を開校したのは、9代藩主の徳川斉昭です。明治維新の足音が聞こえてくる日本の混沌とした時代において、「先見力」「実践力」「世界的視野」をモットーに、彼は多くの優れた人材を育てました。最後の将軍である徳川慶喜も、その一人です。余談になりますが、徳川慶喜に寵愛されたのは、あの渋沢栄一翁です。その渋沢栄一翁は、奨学金の団体組織である「埼玉学生誘掖(ゆうえき)会」の会頭として来校され、本校の卒業式において来賓祝辞を述べた、と記録にあります。
 卒業生の皆さん、そのような歴史と伝統のある川女での生活に、間もなく終止符が打たれます。いよいよ旅立ちの時がやって参りました。川女で学んだことを誇りに思い、何よりも川女生であったことを矜持として、ますますのご活躍を祈っています。本日は、ご卒業おめでとうございます。
 令和4年 3月16日  埼玉県立川越女子高等学校 校長 桑原 浩