校長日記(最終号) 令和3年度終業式にて
3月24日(木)リモートによる終業式が各HRにて実施されました。なかなか対面での集会を行うことができない日々が続きますが、生徒の皆さんは、今年度を振り返り、新たな年度の準備を行い、次へのステップに進んで欲しいと思います。まずは校長講話(下段参照)に続き、進路指導主事・武藤先生からユーモアを交えた講話をいただきました。ある企業で開発された商品を例に、「気づき」の大切さを話していただきました。また、生徒指導主任・野中先生からは、「川女生としての「自覚」と「誇り」を意識した生活を送りましょう」という観点から、スラックスの導入・ネット被害防止・不審者被害防止・自動車運転免許取得の手続などについてお話をいただきました。また、「当たり前のようで難しいこと」の9つの文言のお話もされました。
春は出逢いと別れの季節でもあります。校長として3年間お世話になった川女も、私は卒業となります。これまで3年間にわたり数々の叱咤激励をいただき、充実した3年間を川女生と過ごすことができました。また「校長日記」をご覧いただき、誠にありがとうございました。これからも発展・飛躍し続ける川女への応援を引き続きよろしくお願いします。
《 令和3年度終業式・校長講話概要 》
皆さん、おはようございます。在校生の皆さんには、「当たり前の川女生活」を経験する機会が制限されてしまい、歯がゆいとともに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、思い切りハレルヤを体育館で歌い、大声で体育祭の応援合戦で競い合い、紫苑祭で1万5千を超える方々を迎え入れ、我慢することなく堂々と早弁をする、そんな日は必ず来ると信じています。それまでは、今しばらく、緊張感をもって日々過ごしていきましょう。
さて、今私たちは、当たり前のことが出来ない状況の中にいます。だからこそ、出来ないことを嘆くのではなく、少しでも出来ることを味わう姿勢が大切だと思います。また、当たり前のことが出来ていたことを、「ありがたい」と感謝する気持ちを持ち続けることも、同じように大切だと思います。こんなご時世であるからこそ、「当たり前のことができる自由」について考える必要があると思います。
本日は、この「自由」ということについて、お話をしたいと思います。「自由」という言葉は、慶応義塾を創立した福沢諭吉翁が英語を翻訳し、一般的に広まった言葉とされています。また、「自由」に相当する英語は2つあります。1つはFREEDOM、もう1つはLIBERTYです。辞書によれば、FREEDOMとは「the condition or right of being able to do without being controlled or limited」と定義されています。つまり、「支配や拘束を受けず、自らの意思で行動する自由」です。一方、LIBERTYとは「the freedom and the right without asking permission」と定義されています。つまり、「誰かの許可なく自分の意思で行動する自由」・「様々な闘いなどを通じて手に入れた自由」です。このように、同じ「自由」という言葉でも、FREEDOMは「元々あった自然権としての自由」、LIBERTYは「後から手に入れた自由」という、それぞれ異なった概念の「自由」ということです。例えば、「学問の自由」は「人は誰でも学ぶ自由がある」ので、英語ではACADEMIC FREEDOMという表現になり、FREEDOMという単語を使います。一方、1776年アメリカ合衆国・独立の象徴としての「自由の女神」は、英語ではthe Statue of LIBERTYという表現になり、勝ち取った自由という意味で、LIBERTYという単語を使います。
本日は、FREEDOMとLIBERTYをとおして、「自由」という言葉について、お話をしました。
川女生である皆さんには、どんな状況下においても、ACADEMIC FREEDOM「学問の自由」を謳歌し、学び続けて欲しいと願っています。そして、私は3年間にわたり皆さんに伝えてきましたが、学びを自分だけのものにしないで、学んだスキルや知識を社会に還元して欲しいと思います。そのために、今は学びに貪欲になり、様々なスキルや知識を身につけて欲しいと思います。そして、やがては、その力を社会に返して欲しいと思います。それが、皆さん川女生の使命・ミッションです。数年後、ますます成長した皆さんに会えることを楽しみにしています。これで、私の川女での最後の講話とします。皆さん、ありがとうございました。お元気でいらしてください。