校長日誌

後期始業式

令和8年10月5日(月)後期始業式を行いました。全校集会に引き続き、生徒は各HRにてのオンライン開催でした。校長講話の後、進路指導部主任からは「時間の使い方の工夫」について、生徒指導部主任からは「基本的生活習慣の大切さ」について等の講話をしました。
始業式後は、部活動の大会への報告会が行われ、弓道部による関東大会についての報告がされました。各部とも引き続きの活躍を期待しています。

 

   

 

 

 

 

 

校長講話の要旨は以下のとおりです。表示されていない場合は<続きを読む>をクリック(タップ)してください。

皆さん、おはようございます。

今日から後期が始まります。

まずは、先日の紫苑祭についてお話ししたいと思います。

紫苑祭実行委員会や生徒会をはじめ、多くの生徒の皆さんの力によって、今年も素晴らしい文化祭を実施することができました。今年度は2日間で1万人を超える方々にご来場いただきました。また、多くの方から、川女生の活躍や学校全体の温かい雰囲気について、お褒めの言葉をいただきました。ありがとうございました。

さて、こうした成功は一朝一夕に生まれたものではありません。夏休みやそれ以前から続いてきた準備の時間、仲間との話し合い、試行錯誤の積み重ねがあったからこそ、多くの人の心に残る紫苑祭になったのだと思います。

今日は、その経験と学びについて考えてみたいと思います。

今年出版された「ヒトとAI」という本では、「AIに何かを委ねるときヒトには何が残るのか?」という問いが掲げられています。著者の岡野原大輔氏は、人間とAIを比較しながら、自由や責任、文化や感情といった人間の特質について考察しています。私なりの受け止めを交えてお話しさせていただきます。

この本で、私が特に印象に残ったのは、「地図を持たない人はナビを使いこなせない」という考え方です。

AIは、これからますます優れたナビゲーションのような存在になるでしょう。しかし、その答えが正しいのか、どの道を選ぶべきなのかを判断するのは人間です。

例えば、AIを使ってレポートを作成したとしても、その内容を確かめ、判断するのは人間です。

実際に、有名なAIを開発した企業も、安全性を理由に新しいAIモデルの公開を見送る判断をしました。最後に判断し、その結果に責任を負うのは人間です。

著者は、知識を単なる答えを得るための道具ではなく、自ら考え判断するための「足場」として捉えています。

私は、その足場を築くのが学びだと思います。

授業、家庭学習、読書などを通して知識と教養を身に付けること。

これらの積み重ねによって自分自身の中に地図が描かれていきます。

もちろん、これらは試験や進路につながる大切な学びです。しかし、それだけではありません。

紫苑祭の経験から、何を学ぶかは人によって異なります。なぜ企画が成功したのか。なぜ意見の違いを乗り越えられたのか。なぜ皆で一つのものをつくることに達成感を覚えたのか。

そうした経験を振り返り、自分なりの意味を見いだすことが学びです。

そして、その学びをより豊かなものにしてくれるのが、日々の授業や読書などによって身に付けた知識や教養です。私は「経験が学びを生み、学びが経験を深くする」のだと思います。

だからこそ、AIの時代になればなるほど、学ぶことの価値は大きくなります。

後期は、皆さん自身の地図をさらに豊かにしていく学期です。

授業を大切にしてください。家庭学習を粘り強く続けてください。一冊でも多くの本に出会ってください。そして、人との出会いや学校生活のさまざまな経験も大切にしてください。

1年生から3年生まで、学年によって置かれている状況や課題は異なります。しかし、今向き合っている学びに無駄なものは一つもありません。

知識や教養と経験、その一つ一つが皆さんの足場となり、自ら考え、判断する力を育てていきます。皆さんが、それぞれの「最高の景色」に向かっていくことを期待しています。

 

参考:岡野原大輔著「ヒトとAI」(2026年岩波新書)